| 皮革と傷 |
皮革は「皮」から加工されることによって、皮革になると何回か書かせていただいております。
カーフという仔牛の皮革が高級といわれる理由には、仔牛であるという年齢的な柔らかさもありますが、
可愛そうですが、生きている期間が成牛と比べて短いが故に、傷を負う機会が少ない、
虫にさされる、牛同士の角でつかれる、また柵などで傷つく、などが少ないため、皮への傷が少ないこともあげられます。
カーフだけではなく、高級といわれる皮革は皮の段階で選別されます。
一頭から取れる皮革で傷の少ないほど、皮革としては価値の高いモノになります。
より、素材感を出すためには、加工時に余計な手をくわえない程良いわけですが、
そのためには元の皮に傷があってはならないわけです。
皮革製品が大きくなればなるほど、必要な皮革も大きくなります。傷になっていない面積を多く必要
とするからです。
型押しの皮革、皮革への文様のあるものは、加工段階で人工的に作るものですが、それも
もとの皮の傷を隠すための理由もあります。
こうして製品化された皮革は、店頭に並ぶときに、販売員は非常に気をつかいます。
白手袋で応対されるのをご覧になることも多いでしょう。なぜなら傷が付きやすいからです。
よく「傷が付きにくいか否か」という御質問をお受けいたします。
皮革の質が良ければよいほど、前述のように、皮革の素材その物を尊重しようとします。
加工が少ないほど、傷がつきやすいと言っても良いでしょう。
手に付いた脂でさえ、シミになるものもあります。でも皮革の品質は高いです。
皮革としての品質と、傷が付きにくいかどうかは全く次元の違う話だと思います。
傷は付くかもしれませんが、付いた傷を傷と思わせないところに、皮革の良さがあると
私は思っております。全く傷の付かない皮革は皮革であって、皮革でない。
そのようにさえ感じます。
鞄についた無数の傷は一緒に長年過ごした証。
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